照帝国の後宮に現れたるは、怪しい化け狐・・・ではなく、狐仙の魅音!
「仙」を名乗るにしては能力が色々微妙だったり、発言が怪しかったりしますが、決して妖怪ではない狐仙さまが、近ごろ後宮を騒がせる不穏な事件に挑みます!!
『狐仙さまにはお見通し-かりそめ後宮異聞譚-』の1巻目が5月12日より発売中です!
照帝国は暴政を極めた先帝が討たれ、現皇帝・俊輝(しゅんき)によって国の立て直しが図られている真っ最中。
緊縮財政中ゆえにやや寂れた雰囲気のある後宮で、狐の耳と尻尾を持つ娘が方術士に捕えられるという事件が発生します。
娘の正体は、狐の妖怪・・・ではなく、神に近い「狐仙」を自称する胡魅音(こ みおん)。
事情があって現在は人間に転生している魅音は、後宮行きを嫌がった県令の娘・陶翠蘭と入れ代わって後宮に入り、仮病を使って後宮から脱出しようとして、捕まってしまったのでした。
そもそもなぜ翠蘭が後宮行きを嫌がったのかというと、先帝が後宮でも暴虐の限りを尽くした結果、殺された宮女や妃の鬼火や亡霊が出てくると噂されるほどに不吉な場所になってしまったから。
狐としての正体がばれた魅音は、皇帝の直々の命を受けて、女嫌いの方術士・昴宇(こうう)とともに、後宮で発生する怪異の解決に(しぶしぶ)動くことになりますが、果たして――?
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猫獣人の一人称で語られる珍しい異世界ファンタジー『猫の手でもよろしければ』を著した、遊森謡子先生による中華ファンタジーです。
本作も狐妖怪・・・じゃなくて、狐仙の魅音の視点で語られる作品で、ケモミミキャラの主人公視点というのは、やはり珍しいタイプの作品です。
『猫の手~』のチヤもそうでしたが、獣人主人公がその不利な境遇に負けず、かなりたくましい立ち振る舞いをするところも特徴的。魅音はさらに、あっけらかんとしたポジティブさというか悪戯な雰囲気があって、まさに狐!らしさが詰まっています。中華後宮ミステリーとしても凄く工夫されていて、暴虐の先帝が廃されたばかりの国、という設定が非常に効いています。
真犯人が本物の亡霊なのか、新皇帝に恨みを持つ先帝の縁者なのか、新皇帝を陥れようとする政敵なのか、他の妃を蹴落として新しく寵愛を得ようとする後宮関係者なのか・・・犯人候補が自ずと多数出てきて、誰も彼も怪しい、となる舞台仕立てが巧いなあと思いました。
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挿絵を担当されたしがらき旭氏による魅音の狐耳娘姿は、もう本当にもっふもふで素晴らしいので、ぜひ本書を手に取って見てみて欲しいと思いますよ!

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