九尾の神狐「きび」。
弟子は一人しかとってはならない、という過去の風習を破って三人の若い狐を弟子にしたり、長年対立していた狸と狐の関係を修復したりと、次々と型破りなことを行ってきました。

そんな中、自分が遭遇したすべての悪習の原因が、先代師匠「みかん」の企てによるものらしいと気づいたきび。

ついに、彼女は自分の師匠と対決することになりますが・・・!

ほのぼの甘くて少しほろ苦い、神狐の卵たちの修行の日々を描く漫画『きび様といっしょ』。
衝撃と感動の完結巻3巻が5月14日より発売中です!
狸と狐との和解の過程で、すべての事件の裏で先代師匠のみかんが糸を引いていたことを知ったきび。
年の瀬も迫ったある日、みかんが近くの町「雫町」に現れたという情報が入ってきます。

狸の親分の「よもぎ」や弟子たちとともに、雫町に殴り込みをかけるきび。
よもぎはもはや完全にみかんを悪者扱いしていましたが、きびにとっては恩のある師匠であり、完全に敵視することはできません。

しかし、実際に対面したみかんから、狸と狐の大切な宝「妖槌」と「妖刀」を隠したと告げられて、考えを改めます。

宝を取り戻そうと慌てるよもぎときび、そしてその弟子たちをあざ笑うかのように、雫町まるごと幻で包んでしまうみかん。

先代師匠の圧倒的な妖力を前に、果たして、きびと弟子たちはすべての因縁を断ち切ることができるのか・・・?

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神狐きびと三人の弟子のほのぼのな日常に、先代の師弟関係に関わる因縁が大きな陰を落とす、光と陰が対になった物語構造は、最終巻まで変わりません。

この巻まで読むことで、そうだったのかー!と唸らされる伏線回収もあり、妖怪モノの創作者の方はぜひ一読をおススメします。

特に、きびと先代師匠みかんとの対決がバトル漫画的な肉弾戦ではなく、徹底的な「化かし合い」になっている点は注目です。

狐は幻を見せるのが得意、狸は別のモノに化けるのが得意、という特徴がここまで徹底されているのは、他の妖怪漫画ではあまり見られない描写で興味深い。
(化けるのが得意な狸は「稲妻」や「風」のような実体のない物にまで変化できる、等)

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二つの動物の要素を持つケモミミキャラは、イヌミミ&狼耳のみの特権(狼犬キャラ)で、他の動物耳キャラだと『FGO』のタマモキャットくらいしか例がないと思っていたけど、本作で「狸と狐の合体概念」が登場するのでメモメモ。