有名な中国古典文学を大胆な描写で漫画化した『蓬莱トリビュート 中国怪奇幻想選』が3月15日より発売中です!
帯に「人外×古典」とあるように、ほぼ全編に人外の存在が登場します。
表紙は狐耳娘ですが、ほかにも獣が人の姿に化けた娘が多く登場します。
獣娘の登場する話は以下のとおり。

●第3話『狐の掟』
助けた狐が娘の姿になって恩返しに来るけど、実は・・・。
中国の化け狐は道教の陰陽の要素を持っているという点が良く分かる話。
原典は17~18世紀の清時代に刊行された小説『閲微草堂筆記』。


●第5話『異類の娘【虎】』
山奥で出会った美しい娘と結婚した役人の男。
子も授かり幸せな生活を送っていたけれど、ある頃から妻は山を恋しがって思い悩むようになります。
その理由は・・・?

誰が悪いというわけではないのに、非常に切ない話。
獣娘と添い遂げるのは難しいのか・・・。
原典は10世紀頃の北宋時代に編纂された奇譚集『太平公記』です。


●第7話『異類の娘【狼】』
なぜか山奥に大きなお屋敷があり、そこに住む令嬢に一目惚れして結婚した狩人の男。
幸せな結婚生活を送っていましたが、唯一気になるのは、妻が時折、侍女と連れ立って山に入っていくこと。
「山に住む人嫌いの義姉と会うため」という妻の言葉を完全に信じ切れず、こっそり妻の後をつけた狩人が見たものは・・・?

こちらも切ない話。
鶴の恩返しもそうですが、人外っぽい娘に「見てはいけない/覗いてはいけない」と言われたら、守らないといけませんね!
原典は18世紀頃の清代の奇譚集『夜譚随録』。

※ ※ ※

本作に登場する獣娘のうち、明確にケモノ耳が生えているのは第3話の狐娘だけで、第5話の虎娘、第7話の狼娘は髪の毛の形がケモノ耳っぽい、という外見になっています。

気になった描写としては、第7話の狼娘。
ものすごくたくさん食べるところカワイイ。

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『蓬莱トリビュート』P152(鮫島円人/株式会社リイド社)


それにしても「狼娘=大食い」という要素はどのあたりが原点なんですかね。
日本の作品でも『狼と香辛料』のホロが食べることに目がなかったりしますし、『幻想グルメ』のシルフィンの設定がエルフ娘から狼娘に変更になったのも「食べる」という要素に関してはエルフよりも狼の方が適役、という判断があったからなのかもしれません。
小梅けいと画集 狼と香辛料~十年目の林檎酒~
小梅 けいと
KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
2017-03-10




本作『蓬莱トリビュート』が中国古典を下敷きにしていることから考えても、「狼の化けた存在=大食い」はかなり昔からある概念なのだと思われますが・・・。

このあたり、どこかできちんと調べておきたいところ。



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