舞台は下剋上と裏切りが蔓延し、血で血を洗う戦国時代の日向国。

山賊に身を落としながらも、殺された仲間たちの復讐を誓う若武者カガシは、ある時立ち寄った山で、守神の座を追われた山犬の女・縣(あがた)に出会います。

恨みの炎に身を焦がす人間の男と、全てを諦観している人外の女。
本来、相容れないはずの二人が、戦の果てに見るものとは・・・!

戦国ピカレスクファンタジー『ねじけもの』、堂々の完結巻3巻が1月9日より発売中です!

薩摩の雄・島津家の義弘に囚われたカガシと縣。
島津が敵対する伊東家にカガシの仇敵「蜥蜴」が助力していることから、島津義弘はカガシを味方に引き入れて蜥蜴を討たせようと図ります。

カガシは自分を良いように利用しようとする義弘の意図に気づきながらも、千歳一隅の機会として義弘に協力すると返答します。

そして物語は、島津と伊東・大友連合の戦――戦国九州における最大の戦「耳川の合戦」へと発展していくのでした。

蜥蜴と刃を交えることのみを望み、激戦の中、冷たい目で戦況を見極めるカガシ。

そんなカガシを、さらに冷めた様子で観察する山犬の縣。

価値観の違う二人の道は、ある一つの結末に向かって収束してゆくのでした――

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本作、数百年を生きる人外の縣と、人間のカガシという寿命差のある者同士が迎える結末について、意外な結末を用意している点で要注目です。

「寿命差のある関係が、意外な結末を迎える」という物語としては、田中ユタカ氏の『愛人[AI-REN]』を思い出すのですが(ちなみにこの『愛人[AI-REN』もケモミミ要素あり)、それに匹敵する衝撃の展開が待ち受けています。


人間を「蟻のような存在(殺すにも助けるにもとるに足りない、どうでもいい存在)」とみなしている縣だからこその、彼女がカガシに対して抱いている感情に痛切なものを覚えます。

物語の展開自体も、復讐に身を焦がし徐々に人間離れした心理に囚われるカガシに対して、全てを諦観しているがゆえに人間らしい穏やかさを見せる縣、という対比が強く印象付けられていて、「人間らしいとは何か」を考えさせられる内容となっています。

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巻末のおまけ漫画で、縣の耳と尻尾の事について語られているので、その点も要チェックですね!

縣も「自分が狐だと忘れないように」あえて髪に狐耳の形をつくっている『戦国妖狐』の妖狐たまと似ていて、頭の獣耳に本物の耳としての機能はあまり無いらしいことが分かります。
戦国妖狐 16 (コミックブレイド)
水上悟志
マッグガーデン
2016-02-17


あまり萌えを意識していない伝奇・妖怪作品だと、獣妖怪の獣耳はあくまで「元が獣である者」の象徴であって、本物の耳としての機能はないことが多いです。



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