ぱっとしない地味な少年・陽介がずっと憧れていた先輩は、世界を滅ぼす魔狼フェンリルで、彼の前世における「姉」だったのです!

痛切な死と愛の物語『フェンリル姉さんと僕』の初単行本が7月6日より発売中です!
他人と競争することが嫌いで、人と親しくすることも避けている中学二年生・灰島陽介。
没交渉なタイプの陽介ですが、そんな彼にも気になっている女性はいました。

中学三年生の北見冬花。
優しい物腰と清楚な立ち振る舞いで男子たちの憧れの的になっている女性です。
陽介は他の男子たちと同じように彼女に憧れつつも、遠くから眺めているだけで満足していました。

ある日、陽介は夕闇に沈む道で人間とは思えない異様な不審者に襲われて、体の中に巨大な蛇が入り込む感覚を体験します。

その後、学校でも出現した異様な存在に襲われた彼を助けたのは――異形の狼の姿になった冬花先輩!

冬花先輩は世界に死を与える魔狼フェンリルを自称し、陽介のことを万物を溶かし尽くす毒蛇にして最愛の弟・ヨルムンガンドの転生体だと告げます。

人の命を軽視するような発言をし、異常な愛情を示してくるようになった冬香に、陽介は恐怖を覚えますが、、、

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本作の最大の特徴は、普段は萌え日常四コマのようにほほんとした雰囲気の冬花が、フェンリルになると残酷で病んだ性格に豹変するギャップにあります。

作者の前作『幼馴染はハチミツが好き』における甘やかな風景と過酷な描写のギャップという持ち味を、さらに拡大したような内容です。
もう一つの特徴が、フェンリルとヨルムンガンドが姉弟という神話の設定を盛り込んでいること。
フェンリル擬人化の作品は漫画・小説・ゲームと数多くの事例がありますが、姉弟設定を持ってきた作品は本作が初ではないかと。

この設定だと必然的にもう一人、妹か弟がいることになる(フェンリルは三姉弟)のですが、そのあたりの展開も見逃せませんね!

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フェンリル姉さんこと冬花は、魔狼化すると炎のゆらめきのような尻尾が生え、髪の毛が狼耳っぽく逆立ちます。

あと、本作も『みみつきのクロ』の光と同じく、普段の人間の姿では人間耳が見えているのに、魔狼化すると人間の耳の部分が隠れる(人耳が有るのか無いのかあいまいになる)という描写がされています。
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『フェンリル姉さんと僕』1巻P64(阿崎桃子/秋田書店)


この描写、四つ耳状態にならないようにしつつ、ケモミミ娘最大の疑問(人間の耳がある部分はどうなっているのか?垂直耳道になっているのか?)を回避することのできる、いいとこどりの描き方なんですかねー



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