高度な文化によって栄える「現世」と、得体のしれない動植物がひしめき合う未開の世界「棄界」。
上官殺しの罪で「棄界」に永久追放された元軍人の青年は、そこで出会った獣耳と尻尾を持つ少女とともに、ある密命を果たすため、異形の怪物がうごめく棄界の奥地へと足を踏み入れますが・・・!

ベテラン作家・榊一郎氏による、異色のハイ・ファンタジー獣耳小説『誰が為にケモノは生きたいといった』が2月20日より発売中です!

強固に安定した統治で繁栄していることから「千年王国」「永久楽園」とも呼ばれるジンデル王国。
その王国が「絶対流刑の地」としている「棄界(ゲヘナ)」と呼ばれる地は、視界の全てを埋め尽くす葉と苔に支配された未開の世界です。

イオリ・ウィンウッドは元々、極限環境での戦闘に関する特殊な訓練を受けた「魔術猟兵」と呼ばれる部隊に属していた若者。
上官殺しの罪で棄界に永久追放の刑を受けた彼ですが、実はある人物から密命を受けており、その任務を達成した暁には無罪放免の上に相応の報酬まで約束されていました。

そもそも人間がまともに生きられるかどうかすら不明な棄界。
棄界に転送されていきなり危機に陥ったイオリを、一人の少女が助けます。
タビタと名乗るその少女の体からは獣の耳と尻尾、そして、巨大な剣の形をした髪が伸びていたのでした・・・!

※ ※ ※

著者のファンタジア文庫での代表作である『棺姫のチャイカ』よりも、さらに奇妙な事物と世界観によって彩られた、本格ハイ・ファンタジー小説です。

電撃大賞受賞作の『血翼王亡命譚』がきっかけになっているのかは分からないけど、最近、世界観を凝りに凝ったハイ・ファンタジーのライトノベルをちらほらと見かけるようになりました。
系統的には現代ファンタジーに属する「異世界転移・転生モノ」に対しての揺り戻しが来ているのかな?
血翼王亡命譚 (2) ―ナサンゴラの幻翼― (電撃文庫)
新八角
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
2016-06-10


ヒロインとしては獣耳尻尾が生えていてたどたどしい喋り方をする素朴で野性的なタビタと、くっ殺系テンプレ姫騎士を巧くハイ・ファンタジー的にアレンジしたユーフェミアが登場します。

タビタの容姿の特徴としては、獣耳が頭のてっぺんから生えているのではなくて、人間の耳のあるあたりが獣耳になっている点ですね。これは挿絵だけでなく、文中でもそう描写されています。
90年代では『天空のエスカフローネ』のメルルなど、時々見かけた獣耳の形ですが、近年では珍しいタイプ。
天空のエスカフローネ Vision.5 [Laser Disc]
矢立肇
バンダイビジュアル
1996-11-25


タビタは仕草や性格がわりと犬っぽいのですが、榊一郎氏のもう一つの代表作『アウトブレイク・カンパニー』も獣耳キャラは犬科(狼)だった点から考えると、犬系ケモミミにこだわりがあるのかな?




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