「人間」、「獣人」、そして「狩人」の三種族が住む世界。
獣人の天敵である若い「狩人」は、ひょんなことから、はぐれ狼獣人の子供を自分の弟子として育てることになりますが・・・。

狩るモノと狩られるモノが紡ぐ壮大なファンタジー『赤ずきんの狼弟子』の初単行本が2月9日より発売中です!

イグアニマ大陸には三種の人種が棲んでいます。
最も数が多く、巨大な社会を築いている「人間」。
人間と相容れず、時に彼らを襲撃の対象としている「獣人」。
その獣人を狩ることを生業としている人間のはぐれ者「狩人」。

人間社会に害をなす獣人を狩るので、狩人は人間から尊敬されているかといえばそうでもなく、“得体のしれない殺戮者”として恐怖と蔑みの目を向けられており、大陸に棲む三者の関係は非常に悪い状況にあります。

「狩人」の中でも異様に目立つ血のような赤毛をした男・ウル——通称「赤ずきん」はひょんなことから、親とはぐれたらしい人狼の少女・マニを拾います。

最終的に狩るモノと狩られるモノの関係になり、寝覚めの悪い結末になりかねないという周囲からの忠告をよそに、ウルはマニを自分の弟子として育て始めるのですが・・・。

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近年の狼耳作品では良く題材になる、赤ずきんと狼の「狩る-狩られる」関係が逆転しているタイプの作品です。
このタイプは「狼耳少年—赤ずきん少女」という組み合わせになることが多いのですが(例1『愛狼童話赤ずきん!』 例2『赤ずきんちゃんは狼さんを泣かせたい!』)、本作は赤ずきんが男で、狼が少女になっています。あと、ギャグじゃなくてかなりシリアス寄りのファンタジーになっているのも特徴。



狩人は獣人の言葉を本能的に認識できない(ウルは狼少女マニの言葉が分からない)というのが、非常に面白い設定になっています。認識のずれでマニがピンチに陥ってしまうとか仲違いしてしまうとか、様々な展開を生み出せそうな設定なので、今後の展開に強く期待ですね。

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昨年末のコミケで出した個人誌『総解説・狼耳史犬耳史』で、最近の狼耳キャラは「狼に育てられた野生少女」のイメージを備えつつあると分析したのですが、本作でもそのような描写が出てきます。
マニがスプーンの使い方を知らず、手掴みで食べようとする場面。
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『赤ずきんの狼弟子』1巻P34(茂木清香/講談社)


「文明を知らない狼少女」は一時期少女漫画で流行したジャンルで、長い間途絶えていたのですが、それが狼耳キャラクターの形をとって再興の兆しを見せつつあるのは、とても興味深い流れだなあと思っています。


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