特急列車での移動中、19世紀風の異世界の駅に転移してしまった若い夫婦。
しかも、お嫁さんの方はなぜか猫耳娘に変身し、記憶を失ってしまいました。

夫婦は異世界の駅舎の一部を喫茶店に改装し、異世界の料理に新風(名古屋の喫茶店の味)を吹き込んで評判になりますが、お客さんが集まってくると、新たな騒動もまた生まれるのでした!

第4回ネット小説大賞受賞の異世界喫茶店グルメ小説『異世界駅舎の喫茶店』、コミカライズ版2巻目が12月22日より発売中です!

19世紀風の異世界の駅・ハーパータウン駅での喫茶店稼業も軌道にのってきた、若店主タクミと猫娘ニャーチのカップル。

おりしも、この異世界では史上初の万国博覧会に向けて、全世界が盛り上がっている最中。
冷蔵庫・冷凍庫といった機器が出てきたり、遠い異国の珍しい食材・調味料が大量輸入されたりと、料理に関わる新たなブレークスルーが起きようとしています。

タクミは料理の新しい潮流を取り入れようとしたり、もう一つの仕事である駅舎管理についても万博に向けた強化を行ったりと、毎日多忙な日々を過ごしていますが、そんな中でも常に気にしているのはニャーチのこと。

相変わらず、ニャーチが本来の妻「柚(ゆう)」だった頃の記憶を取り戻す様子はありません。

タクミは「ニャーチ=柚」とみなしていいのか、別人格であるならニャーチと近づきすぎる事はまずいのではないかと、複雑な感情を抱くことになりますが・・・。

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漫画版は公開されている原作web小説のストーリーが下敷きになっていますが、結構味付けが変わっている話があるので、原作を読んだ人でも読む価値がありますよ!

『幻想グルメ』も産業革命直後の異世界という設定でしたが、やっぱり書籍版の記事で考察したように異世界グルメ物をやるのだったら、19世紀くらいの文明レベルにする方が話の拡がりができて良いのでしょうね。異世界ならではの食材を扱うネタ、こちらの世界の料理を再現するネタ、調理技術チートネタが全部扱えるので。

このあたりが最近議論になっている「異世界であることの意味」の、異世界グルメジャンルからの回答というところでしょうか。

本作の場合はさらに「姿形・性格の全てが変化しているけれど、食べ物の好みや反応は全く同じ“妻のような存在”」を登場させるために(料理だけが妻との絆を繋ぎ留めている状況を生み出すために)異世界転移が必要なわけで、料理とファンタジーの要素が巧く絡んでいると感じます。

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「第8列車(第8話)」にて、ニャーチが蛇を凄く怖がる描写があるのが気になりました。
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『異世界駅舎の喫茶店』2巻P63(神名ゆゆ/Swind/pon-marsh/メディアファクトリー)


猫は蛇が怖いという話を聞きますが(猫の背後にキュウリを置くと驚くのもそのせいとか)、実際に猫と蛇が対面している所を見たことが無いので、本当なのかはよくわかりません。(野生の猫は逆に蛇を食べるという話を聞いたことも・・・)

ただ、ごくたまに猫耳娘が蛇を怖がっている場面を見たりしますね。
すぐ思いつくところでは、フライ氏の『けものフレンズ』漫画版でカラカルが蛇のぬいぐるみが飛び出すビックリ箱に妙に驚くシーンがありました。

「蛇を怖がる」が猫耳キャラの今後のトレンドになっていくのか、要注目ですね。