名古屋行きの特急列車での帰宅途中、19世紀風の異世界の駅に転移してしまった若い夫婦。
しかも、お嫁さんの方はなぜか猫耳娘に変身し、記憶を失ってしまいました。

元の世界に戻れなくなった夫婦は田舎の駅舎の一部を改装して喫茶店を始めます。
予想以上に好評で、評判を聞いた様々なお客さんが訪れるようになりますが・・・。

第4回ネット小説大賞受賞の異世界喫茶店グルメ小説『異世界駅舎の喫茶店』の2巻目、『小さな魔女と記憶のタルト』が5月25日より発売中です!

元の世界に戻るあてのない黒金匠ことタクミと、黒金柚が転身した猫耳嫁(!)ニャーチは、相変わらず駅長代理としての業務と、駅舎併設の喫茶店『ツバメ』の営業という二足の草鞋を続けています。

今、この異世界では都市部のマークシティにて大きな博覧会が開催されようとしているところ。
商会の商人や商社の社長、投資先を求める銀行家などが、田舎町であるハーパータウンの駅を通り過ぎていきます。

ヴルスト(腸詰)を取り扱うルーデンドルフ夫妻や、紅茶を商品化しようとする銀行家ソフィアと交流する過程で、タクミとニャーチは今までこの世界では入手できなかった(でも、日本ではわりと一般的に入手できていた)いくつかの食材を入手することに成功するのですが・・・。

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公開されている原作web小説の、おおむね16話~29話目までが一部順番を変更した形で収録されています。
最後の話がちょうど『大晦日と年越しの料理』で、この一冊の中で初秋から冬まで季節が過ぎて一年を締めくくるような流れになっています。

「異世界」という設定ではあるのですが、どちらかというと食材・設備・料理器具が不十分な外国で日本的な軽食を作ろうとする感じの話です。
異世界の文明レベルが19世紀くらいなので、そもそも食材・調味料自体が存在していないことは少なく、こちらの世界と似たような物が存在してはいるけど使い方が違う/一般的でなくて流行っていないというパターンが多いので、設定に無理のない説得力ある料理小説に仕上がっています。
(中世ファンタジー風の世界だと、根本的にその料理は調味料が無くて作れないんじゃないか・・・とツッコミたくなることがありますので)

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嫁が猫耳少女に変化するという、ネコミミストからすると「もう元に戻らなくていいよ!」という事態に遭遇したタクミですが、その内心はかなり複雑なようです。
やはり柚の猫耳化したニャーチが、柚の頃の記憶をあまり覚えていない・・・性格的にも変わってしまっている点が辛いようで。

だからといって、元の世界に戻ると今度はニャーチと暮らしてきた1年の思い出が消えてしまう可能性があり、タクミをさらに悩ませるという流れが巧いなあと感じさせられます。



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