傑作獣耳小説『狼と香辛料』の新シリーズ!

賢狼ホロの娘・ミューリと、成長した聖職者見習いコルの新たな旅を描く『新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙』2巻の電子書籍版が5月10日より発売中です!
(書籍版は3月10日にはすでに発売済でしたが、その時に紹介しきれませんでしたので、このタイミングで、、、)

本格的に聖職者になることを目指して、「狼と香辛料亭」のある温泉地ニョッヒラを旅立った青年コル。
厳しい自己研鑽の旅のはずだったのですが、なぜかホロとロレンスの娘、齢十そこそこの半狼の娘ミューリがついてきてしまい、そのまま旅の道連れとなりました。

今、世界は、教会の課す「十分の一税」の是非を巡って、教皇庁と島国ウィンフィール王国が対立している真っただ中。

ウィンフィール王国の王族ハイランドの正義を信じて、ウィンフィールに味方することにしたコルは、ハイランドから依頼を受けて、港町アティフの北にある島嶼地域に向かいます。

島嶼地域はどの貴族の支配も受けていない無主の地であり、地域の独立勢力・・・いわゆる「海賊」と呼ばれる者たちが住みついている場所。

島国であるウィンフィール王国としては制海権を握るために島嶼地域の独立勢力を味方につけたいのですが、教会の主流とは異なる一風変わった宗旨を信仰しているらしく、正しい信仰を広めたいウィンフィールとしては下手に味方に引き入れると風評の上で痛手を受ける可能性があります。
そこで、神学に通じているコルに島嶼地域の信仰が正しいものであるか、見極めさせようというのです。

ミューリは初めての船旅に「海賊」という冒険心をそそる言葉を聞いて大はしゃぎ。
コルも正しい信仰を確立する手助けになればと、(はしゃぐミューリを時々たしなめながら)勇んで海に乗り出します。

しかし、二人はそこで想像だにしないものを見ることになるのでした・・・!

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平原や田園や荒野を旅するイメージの多かった『狼と香辛料』と対になるように、『狼と羊皮紙』2巻目は海が舞台です。

狼娘のミューリとしては、獣肉よりも魚料理中心になる海辺の生活はそこまで好みではないようですが、なんだかんだで魚もよく食べているのはいつもの事ですね。

今回は船旅とはいっても陸地に沿って二、三日ごとに港に停泊していくという中世的な航海の仕方なのですが、作中の世界情勢からすると、そのうち大航海時代っぽい雰囲気になっていくのですかね~

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作者・支倉凍砂氏のあとがきによると、「どのページを開いても可愛いもふもふがいて飛び跳ねているような本」を目指したつもりが後半の展開が重くなってしまったと書かれていますが、確かにかなり考えさせられるような内容になっています。

子供っぽいお転婆娘のように見えるミューリですが、実は理想家肌のコルよりも冷静に物事を見ていて、母狼のホロゆずりの性格が見て取れますね。