世俗から離れた秘境の地で、誰にも理解できない「超常の武具」を作り続けている若き武器匠。
そんな武器匠のもとに、血気盛んな猫の姫がやってきます。

帝国からの侵略を受けている祖国を救うため「超常の武具」を求めてやってきた彼女ですが、それらの武具の「作り方」の真実を知った猫の姫は、武器匠を味方に引き入れたことを後悔することに・・・。

MF文庫としては久々の純本格ファンタジー小説『引きこもり英雄と神獣剣姫の隷属契約 ふたりぼっちの叛逆譚』が4月25日より発売中です!

武器匠・白火(はくび)は世俗を離れ、山奥でひとり、秘法《変幻流転》の力を使って「封命具(ほうめいぐ)」と呼ばれる武具を作り続けています。
封命具は自ら意志をもって動く超常の武具であり、封命具の槍や弓矢が一揃いあれば、どんな精鋭部隊ですら敵わない、無敵の一個軍団が手に入ったも同然というほどの兵器です。

ある日、白火のもとに猫の耳と尻尾を持った、やたら活発で血気盛んな猫の姫ソウガ・ルリ・グウィンが訪れます。
誇り高き神獣テンガイの末裔を自称するグウィンの一族は、今、《沈黙帝》カースが率いるディセント皇国の侵略を受け窮地に陥っており、起死回生の策として白火の力・・・封命具の力を借りるためにやってきたのです。

もとより世俗のことには一切関わりたくない白火ですが、獣と人の美しさを併せ持つグウィンの「素材」としての資質に目をつけて、最終的にグウィンの体を自由にしていいのなら協力すると答えます。グウィンは匠の力が借りられるのならと二つ返事で承諾します。

そうしてソウガ一族の宮廷に迎えられた白火は、帝国軍に組した獣人の戦士たちを封命具でやすやすと打ち破ってその力を見せつけます。
けれども、その封命具を作るために生命が素材として使われたこと・・・自分の愛犬が封命具の素材として犠牲になったことを知ったグウィンは、白火の力を借りたことを後悔しますが・・・。

しかし、戦局は悩んでいる間もないほどに、深刻な状況へと推移していくのでした、、、

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タイトルが最近の異世界転生モノっぽくって、内容が誤解されそうだなあと感じるのですが、かなり硬派なハイ・ファンタジー小説です。

神獣の末裔を自称するソウガ一族の独特の価値観や、命を封じて作る究極のマジック・アイテム《封命具》、そして完璧な《封命具》を作ることに全霊を懸けている、常人には理解しがたい職人魂の権化である主人公の白火。

いかにも別世界といった雰囲気が強く漂っていて、ゲーム色の無いファンタジーが読みたい!という人にオススメです。
近年のラノベファンタジーの系統としては『血翼王亡命譚』とちょっと似てるかな?


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《封命具》を作ることが全ての価値基準の中心になっている白火のキャラも面白いのですが、猫の姫グウィンも無口な白火と対になるかのように騒々しいタイプで、なかなか良いキャラをしています。仕草もかなり猫っぽいです(特に瞳の描写の仕方に力が入っています)。

あと、グウィンのお付の侍女の茶猫娘ダナがずっと白火を警戒して不信感を抱いている様が、侍女っぽくて良いです。普通のメイドと、貴人に付く侍女はわりと違う役割、というのがきちんと描かれています。



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