漫画の神様・手塚治虫氏は動物系漫画を得意としたこともあって、動物の擬人化であるケモミミ娘も結構描いています。

『ブラック・ジャック』の一編『ネコと庄造と』(1975年)では、ネコを人間として見てしまう心の病を患った庄造の視点から、妻代わりの猫をネコミミ女性として描いていたり・・・・・・。


『二人のショーグン』(1979年)では、動物に優しい男の子・ショーグンのために、雌猫のピンクレディーがネコミミ娘になって恩返しにやってきたりします。


上の作品は70年代の作品で、どちらもわりと「カワイイ」感じのデザインのケモミミ娘なのですが、今回紹介する1981年発表の『さらばアーリィ』では、かなりセクシーなケモミミ娘が登場します。
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『手塚治虫漫画全集127 タイガーブックス 7巻』P131(手塚治虫/講談社)












盗賊団やゲリラが出没するタクラマカン砂漠をトラックで突っ切り、学術調査隊へ資材を運ぶことを生業としている運び屋の青年チェンは、ある日、盗賊団に一人の獣のような娘が追われているのを見つけます。

捕らわれようとしていたところを、間一髪でその娘・・・アーリィを助けたチェン。

言葉がほとんど喋れず、猫科の獣のような行動をするアーリィになぜか気に入られて、彼女を元々住んでいる場所に送り帰すことになったチェンは、タクラマカン砂漠の奥地で驚くべきものを見ることになるのですが・・・・・・!

※ ※ ※

恥ずかしながら、実は最近までこの作品の存在を知りませんでした。
やっぱり漫画研究するのなら、手塚先生の全集はちゃんと一から読んでおくべきだと思ったね、、、

アーリィの肌も露わな恰好と、猫っぽい仕草が相まって、手塚作品でも随一のセクシーなキャラクターになっています。
キャラクターデザイン的に、『侍魂』のチャムチャムはアーリィが元ネタ、という説もあったりするみたいです。確かにどことなく似てるかも・・・・・・。


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手塚氏のケモミミ描写の特徴は「特徴がないこと」・・・もとい、時代によってかなり獣耳の描き方が変化することにあります。

アーリィの獣耳の描き方は、ちょうどその直前の時期(1979年)に『シャン・キャット』を描いていた吾妻ひでおの獣耳の描き方(髪の毛の一部が獣耳になっている)によく似ているんですよね。
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『ネオ・アズマニア』3巻P85(吾妻ひでお/早川書房)








『さらばアーリィ』以前の『二人のショーグン』では人間の耳が伸びて獣耳になる描き方ですし、以後の作品である『火の鳥・太陽編』(1986年)もまた、犬娘マリモの獣耳の描き方がアーリィとはかなり異なっています。

手塚氏もケモミミジャンルに関しては、他作品をかなり参考にしていたのかな?と考えますが、このあたりはもう少し調査して結論を出したいところです。



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