近年盛んな萌えミリタリー物のはしりにして、ケモミミ・ミリタリー物の先駆け!
伝説の『猫耳戦車隊』が新装版になって5月20日より発売中です!
出撃っ! 猫耳戦車隊 <新装版> (TANK NOVELS)
出撃っ! 猫耳戦車隊 <新装版> (TANK NOVELS) [単行本(ソフトカバー)]

「大異変」により既存国家が全て崩壊し、軌道衛星都市を中心とした人類の生き残りが「統合機構」として文明の再編を続ける一方で、人類は謎の無人機械勢力「ヴォータン」との20年以上にわたる終わりのない戦争を続けています。

統合機構軍の重鎮・遊月家の末娘である遊月栞里少尉は、運命のいたずらから、Aa亜人種と呼ばれる猫型人工生命体(猫耳娘)を中心とした戦車部隊・第六〇八戦車中隊に配属されます。

夜行性捕食獣ゆえの夜間行動力の高さと瞬発力の高さ、そして居住性の悪い統合機構軍の戦車内でも十分に動ける小柄さから、天性の戦車兵としての能力を持つAa亜人種。
しかし、わがままで気まぐれな彼女らは軍の規律からははみ出しがちで、上層部からはあまり良い印象を持たれていません。

そんな周囲の偏見を跳ね返し、自ら猫耳を付けて、栞里は猫耳娘たちと共に命がけの戦車戦に挑みます!

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新装版と旧・ファミ通文庫版との違いは以下の通り。
●挿絵イラストが全て描き直されている(イラストレーターは旧版と同じく近藤敏信氏。構図は全く旧版と同じで、今の近藤氏の画風で全て描き直されているという、なかなか類を見ない試みがされています)。
●過去の同人誌で書かれた番外編『プライベート・ニャンニャン』が収録。
●作者あとがきでの製作秘話と、細谷正充氏による日本の戦車小説に関する短評が追加。
●全般的な内容の加筆修正。特にエピローグの印象が旧版と大きく異なっています。

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美少女ミリタリー物自体は80年代からありましたが(あびゅうきょ氏の漫画作品とか。45年に終戦しなかった日本を舞台に、互いに少女パイロットの乗ったジェット戦闘機・橘花とB-29が対峙する話『あの子の空』はかなり好き)、スト魔女(2005年~)あたりから盛んに出てくるようになる「ケモミミ美少女+ミリタリー」の先駆は、この『猫耳戦車隊』ということで間違いないです。

敵が人類の兵器をコピーする謎の無人機械群である点など、スト魔女とも設定的に似通っている部分があったりします(おそらくは両作品とも、それ系の敵の原点であるSF小説『バーサーカー』シリーズの殺戮機械を意識したのだと思いますが。現実の政治勢力を出さずに現実の兵器を使った戦争を成立させる手段として、適切なアイデアなのでしょうね)。

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本作、戦車戦ラノベとしてだけでなく、ケモミミ小説として見た場合も独特の作品で、栞里と付け耳をめぐる葛藤がかなり凝っていて面白いのですよ。
一味違ったケモミミ作品を読みたい人にもオススメです!