アイヌの世界観を元に、半猫になってしまった英雄・ポイニャウンペの愛と戦いの日々を描く『ニャンコロカムイ』。
 涙あり笑いありの感動の完結編・第3巻が1月7日より発売中です!

 今回もポイニャンは嫁とラブラブ。そしてもうひと組、炎と雷の神・オキクルミカムイとフクロウの姫君のカップルが、かなり物語に関わってきます。

 オキクルミカムイは人間(アイヌ)のことが好きな神で、人間の生活向上のためにさまざまな道具を与えたり、飢饉の時には食料を与えたりしていました。しかし、それによって人間がより良くなっていくかといえば必ずしもそうではなく、怠惰になったり増長したりした人間は、ついにはフクロウの姫君に危害を加えようとします。
 今までどんな人間の行動も許してきたオキクルミカムイも、自分の嫁に危害が及んだことには我慢できず、彼は嫁を連れて神の国に帰ることを決心します。

 そして、本来は人間の英雄であるポイニャンも、自分に頼りきりの村の人間から離れて、オキクルミカムイとともに神の国に行くことを考え始めますが・・・・・・。

 ※ ※ ※

 ポイニャンが人の国から神の国に行こうとする一方で、アイヌたちが和人や「海向こうの民(レプンクル)」(オホーツク海側の樺太・大陸沿岸民)と交易するという、実際のアイヌ史とつながる話が出てきたりして、「神話の時代が終わる」という3巻のテーマが巧く表現されている感じです。

 さて、主役が獣の姿・・・もといケモミミの姿になっていたりして、「人間の姿に戻る」という目標がある作品の場合、問題なのは主役が人間に戻ってしまうと、(物語的にはハッピーエンドでも)ケモミミな姿を好んでいた読者にとっては残念な状況になってしまう、というジレンマがあります。
 下のコマのように、本作でも、ポイニャン的には人間の姿の方がやりやすいという風に描かれてますが・・・・・・。
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『ニャンコロカムイ』3巻P55(樹るう/竹書房)






 この問題を抱えていたことで有名なケモミミギャルゲ―として『ひざの上の同居人』なんてのもありますが・・・・・・。
(このゲームは人間になりたい猫が、人間になることが最終目標なので、マルチエンディングのうちのいくつかでは猫耳っ娘が猫耳尻尾を失ってしまう)




 『ニャンコロカムイ』ではなかなかうまい具合にこのジレンマを解消していますので、その点でも一読の価値ありですよ!



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