約30年前の1980年代のウサ耳キャラの描き方には、ひとつ特徴的な傾向が見られます。
 それは、人間の耳がそのままウサ耳になるように描かれる傾向があった点。

 80年代のロリコンブームの時期にケモミミキャラを多く描いていた森野うさぎ氏によるSF短編『Mr.スティブの長い夢』では、宇宙船のアシストパイロットである兎型宇宙人のミルケットが、人間の耳のあるところからそのままウサ耳が伸びるような姿で描かれています。
 Mr.スティブの方は完全な犬科の獣人なので、どちからというとケモミミというよりケモノジャンルな作品かもしれませんが、森野うさぎ氏はネコ耳キャラのうえらに関しては、人間の耳をケモミミにするような描き方をしていないので、ウサ耳キャラに限って特徴的な描き方をしていたと見てよさそうです。
スティブの長い夢





『プチアップルパイ 美少女漫画ベスト集成7』P95(森野うさぎ/徳間書店)







 80年代のメルヘン少女漫画の旗手、めるへんめーかー氏もケモミミキャラを比較的多く描いている漫画家ですが、この方もウサ耳キャラに関しては人間の耳をそのままウサ耳にするような形で描いています。
 ウサギの婦人と人参農家の青年とのやりとりを描いた短編『にんじん畑のミス・バニキン』では、ウサギ婦人のミス・バニキンが、人間の耳のところから伸びるようなウサ耳を持っています。
にんじん畑のミス・バニキン





『時の国のアリス』P65(めるへんめーかー/白泉社)








 このようなウサ耳に近い描き方は、近年では2012年発表の『うさぎの神様とボク。』において見られます。ウサギ神・白虹のウサ耳の根元は、人間の耳のあるあたりに描かれていました。
 ただ、21世紀以降ではこういう描き方(ケモミミの根元が見えるような描き方)は、やはり珍しいといえそうですね。