若い魔法使いの女の子や魔法使いの弟子といったキャラクターを主役にした、独特の雰囲気のメルヘン・ファンタジーを発表していました。かなり少女漫画的な色が強い作風です。
『プチ・アップルパイ』後はどうなったのか足取りが追えません、、、
何かご存じの方は情報いただけますとうれしいです。
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『アーウィンの時計』も魔法使いの女の子が登場する作品です。
ケルシーという田舎町に、アーウィンという壮年の弁護士が引っ越してきます。
ケルシーは元々アーウィンの祖父の故郷だった町で、戦争で家を失い無一文になってしまったアーウィンは、町に残っている祖父の家で、法律事務所を開いて再起しようと考えていたのです。
日も暮れて、ようやくケルシーに辿り着いたアーウィンは、エプロンドレスの妙な女の子が妙な生物?を追いたてているのを見つけます。
アーウィンが女の子に声をかけると、彼女は「私が見えるの!?」と驚いて逃げて行ってしまいます。
実は、ケルシーは人間には見えないはずの妖精・魔物・魔法使いが棲みついている町だったのです。
ケルシーの一部の魔物たちは、久々に町の外の人間が来たということで、アーウィンを喰ってしまおうと浮き足立つのですが・・・。
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アーウィンを食べようとする魔物の一人(一匹?)として、狼男の青年が登場します。
普段のシーンでは狼耳の生えているだけの青年ですが、アーウィンに襲い掛かるときは狼頭の完全な獣人になります。
『プチ・アップルパイ 美少女まんがベスト集成12』P140(KUMOKO/徳間書店)
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少女漫画家のめるへんめーかー氏が1987年にSFマガジンに掲載した『迷いの森の赤頭巾』でも、狼耳の青年が登場しましたが、歴史的な経緯を調べると、狼耳キャラも猫耳と同じく、少女漫画的な土壌から生まれていることが分かります。
狼耳キャラクターが使われている古い例として、1982年から連載の『ときめきトゥナイト』が挙げられますが、この作品はご存じのとおり80・90年代を代表する少女漫画です。
『アニメージュ』1983年3月号・P29より。作監・吉本桂子、美術監督・門野真理子へのインタビュー
少女マンガ原作アニメにおける髪型表現に関する記事。アニメ版『ときめきトゥナイト』の蘭世に狼耳の生える場面が例。
90年代に連載された狼耳少女が主人公の作品、碧ゆかこ『狼なんかこわくない!』も、少女漫画ですね。
一方、男子向けでは、1992年から始まった90年代の代表的ケモミミ漫画『はいぱーぽりす』で、ようやく狼耳の人狼族バタネンやトミィが登場します。男性キャラが中心。
男性向けで狼耳キャラ人気の転機になったのは、間違いなく2006年発表の『狼と香辛料』のホロの出現による所が大きいと思われますが・・・・・・。
それ以前にもPSゲーム『サモンナイト2』(2001年)の狼娘ユエルに地味な人気が集まっていたりして、21世紀の初めには男性向け狼耳人気の萌芽は見えていた、といえるかもしれません。