ケモミミ生活 ~獣耳作品情報ブログ~

獣耳のいる生活をはじめてみませんか?
獣耳キャラクターに関連する最新情報と懐かしい情報を織り交ぜて紹介していきます。

※世界で唯一(?)の獣耳評論サークル・S猫出版部のブログです。
※『総解説・猫耳史』『総解説・狐耳史』『総解説・兎耳史』等を頒布しています。
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2015年01月

ケモミミに似て非なるもの。『キツネノ木ノ葉』/『INARI君の弓道』

 これまで原作付き作品のコミカライズの多かった春野まこと氏による、しっぽ愛を詰めこんだ、化け狐中心のオリジナル第一短編集『キツネノ木ノ葉』が1月5日より発売中です!
キツネノ木ノ葉 (花とゆめCOMICS)
キツネノ木ノ葉 (花とゆめCOMICS)

 収録は『キツネノ木ノ葉』、『カグヤとタケル』、『INARI君の弓道』の3篇(全5話)となっており、最初と最後の作品に化け狐が出てきます。

◎『キツネノ木ノ葉』
 警戒心の薄いほんわか狐の「木ノ葉(このは)」は、兄代わりの「紅葉(くれは)」とともに小さな街・狐里山市を見下ろす山の中で静かに暮らしていました。最近、木ノ葉は山の近くにできたコンビニに興味津津。人間に化けてコンビニに入ってみた所、店員の「ミズノクン」に一目ぼれをしてしまい・・・。

 欄外の作者コメントにて、新美南吉の『ごんぎつね』『手ぶくろを買いに』で狐好きになったと触れられていて、実際、本作の最初のシーンは『手ぶくろを買いに』をかなりオマージュした形になっています。
 以前出した狐耳史の同人誌で、「日本の狐作品は(国語の教科書常連の)新美南吉作品の影響を必ず受けているはずだ」といった感じの主張をしたのですが、その明確な証拠のある初めての漫画作品かもしれません。

 ちなみに、木ノ葉はモフモフな狐尻尾は付いていますが、狐耳はありません、、、

◎INARI君の弓道
 伊成は心優しい化け狐。
 その性格ゆえに人間を驚かすことが苦手・・・どころか、驚かすことに一度も成功したことが無く、山の神から今月人間を驚かせられなければ石にしてしまうと宣告されています。
 そんな彼がターゲットとして選んだのは、廃部寸前の弓道部員・源愛弓(みなもとあゆみ)。
 彼女を驚かせようと弓道場に潜入した彼は、逆に愛弓に弓道部員に勧誘されることになるのですが・・・。

 こちらの方では、一コマだけ伊成にケモミミの生えるシーンがあります。
 化け狐の話をふられてギクッっとするシーンですね。
 ただ、基本的には伊成も尻尾だけが生えている姿で描かれます。
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『キツネノ木ノ葉』P161(春野まこと/白泉社)




 本作や、『姫さま狸の恋算用』などがそうなのですが、ケモミミ的視点から見て面白いけど、登場人物にケモミミが生えないから当ブログで話題にしづらい、という作品がいくつかあるんですよね、、、





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公僕と書いて「いぬ」と読む。『妖狐のおまわりさん』1巻

 人の思念が妖怪となり、夜な夜な害をなす地域を管轄する妖東交番。
 そんな場所に配属された正義感の強い新人巡査と、独特の雰囲気を持つ「妖狐」の巡査が、妖の関わる事件を解決する!
 『妖狐(いぬ)のおまわりさん』は12月29日より発売中です!
妖狐のおまわりさん 1 (B\'s-LOG COMICS)
妖狐のおまわりさん 1 (B\'s-LOG COMICS)

 幼い頃に助けられたおまわりさんに憧れ、自分も「誰かに安心感を届けたくて」警官になった水卜愛秋(みうらよしあき)。
 地域課の妖東交番勤務となった愛秋は、先輩の東狐(とっこ)巡査とパートナーを組むことになります。
 東狐巡査は側にいても全く気配を感じなかったり、人の考えを読んだりと、不思議な雰囲気を漂わせた人物。

 愛秋が東狐巡査と組んでパトロールに出ると、この世のものならぬ不可思議な事件に次々と遭遇します。
 そしてついには、東狐巡査が人ならぬ「妖狐」であることを知ってしまうのですが・・・・・・。

 妖でありながら警察組織に属する、東狐の目的は何なのか?

 ※ ※ ※

 老若関わらず美形の男子が多数登場しますが、恋愛要素は(今のところ)ほとんどなくて、正統派の「妖怪事件帖」的物語が展開されます。
 単行本には、本編の原型である読み切り作品『妖狐のお巡りさん~とある妖怪の里で~』も収録されています。

 本作にも、近年のケモミミ漫画にしばしばみられる「ケモミミを見てコスプレだと考える」シーンが存在しています。本編よりも、原型の『妖狐のお巡りさん』の方が興味深いシーンになっていますね。

 下の場面、都内でもケモミミ付けた女の子を見かける、と発言しているのですが、たぶんこの台詞は十年前には成立しなかったんじゃないかと思うのですよ。
 この台詞が不自然に感じないのは、今や、ケモミミを付けた人を見かけたとしても(そんな人を本当に見かけるかは別として)、都会のファッション?的には許容範囲の域に入りつつある、ということなんでしょうから。

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『妖狐のおまわりさん』1巻P131(宮尾にゅん/KADOKAWA、エンターブレイン)












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漫画家志望のフリーター妖狐。『もののけ荘のニートども』1巻

 妖怪ばかりが住む「もののけ荘」を舞台に、漫画家志望のフリーター妖狐と、彼女の周りを取り巻く働かない・勉強しない駄目人間・・・もとい、駄目人外たちのグダグダな日常を描く、新感覚癒し系ニート漫画・『もののけ荘のニートども』が本日1月10日より発売中です!

 妖狐の高野(21才)は、漫画家志望のフリーター。
 ・・・・・・しかしその実態は、ほとんど漫画を描かずにダラダラ過ごしているほぼニート。
 母親からは「早く九尾の狐になれ」と言われているようですが、漫画家になると言い訳して、中途半端な日々を過ごしています。

 彼女の住む「もののけ荘」の住人は、彼女に輪をかけて働かないニートばかり。

 引きこもりを見かねた家族から、無理矢理独り暮らしをさせられている、真正ニートの天使・萌(19才)。
 周期的にネガティブになる浪人生(けどあまり勉強しない)の座敷童子・真弓(20才)。
 ややコミュ障で不登校気味の女子高校生キョンシー・水色(17才)。
 サボり魔でヒモ疑惑のある、動く球体関節人形・文太郎(18才)。
 そして、「もののけ荘」唯一の人間で、パチスロで生活する自称「プロニート」の甘粕(21才)。
 
 互いに互いを駄目にする、ニートオーラの渦巻く「もののけ荘」から、妖狐・高野は脱出することができるのか!?

 ※ ※ ※

 なぜ住民が人外なのか、という説明はとりあえず横に置いて、ファンタジーな人外と、妙に現実味のあるニートなキャラクターのギャップが愉しい作品です。

 人外の集う下宿モノだと、ケモミミキャラは「管理人」ポジションになるパターンが多いのですが(以下の作品群参照のこと)、本作は珍しく純粋な下宿人ということになっています。

足洗邸の住人たち。 8巻 (GUM COMICS)
みなぎ 得一
ワニブックス
2012-08-01



 真弓が(一昔前のニートの代名詞だったネトゲ中毒じゃなく)ソシャゲの重課金で身を持ち崩していたり、水色がまとめサイトのアフィリエイト収入で生活していたりするところが、ニートネタ漫画としても時代の移り変わりを感じる部分があります。

 ※ ※ ※

 ちょっと気になったのが、高野の尻尾の数。
 本編ではだいたい4~5本で描かれており、巻頭カラーイラストで6本で描かれているので、たぶん6尾の狐だと思われるのですが・・・。(九尾でないということは作中の台詞から類推できる)
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『もののけ荘のニートども』1巻P4(U-temo/フレックス・コミックス)











 いわゆる九尾狐のような多数尻尾キャラは動きのある漫画ではデザインが難しいんじゃないか、という考察を過去にしたことがあります。

 特に本作のような日常漫画の場合は、九尾の狐だと画面が尻尾だらけになって煩雑になるのは間違いないので、6尾くらいがちょうどよい数なのかもしれませんね。



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付け耳とシリアス表現。『さようならむつきちゃん』

 書店員の日々を描いた『本屋の森のあかり』等、独特の雰囲気の仕事漫画や一風変わった設定のファンタジーに定評のある磯谷友紀氏による、初のガールズラブ作品集・『さようならむつきちゃん』12月29日より発売中です!

 ケモミミに関係があるのは、表題作の『さようならむつきちゃん』。
 「かこ」(表紙の付け耳の女子)と「むつき」(眼鏡をかけている方)は長年同居生活をしていました。
 けれども、むつきはとうとう普通の男性と結婚することになり、二人で過ごす最後の夜の場面が描かれます。

 かこの母親とむつきは元々、先輩後輩の関係で・・・・・・かつては同居生活をするほどの仲。
 しかし、かこの母親はむつきを捨てて普通の男性と結婚してしまいました。

 そして今、むつきは自分を慕う、年下のかこを捨てようとしています。

 この、繰り返される因果を繋ぐキーアイテムとして使われているのが、かこの付け耳。
 これは、むつきに『今日からうちの猫~ だから遠慮しないで』と言われて付けさせられたアクセサリーなのですが、回想シーンで、この付け耳は元々むつきが付けていたアクセサリーだということが分かります。

 場面の同一性が、付け耳という(見た目に)特徴的なアイテムを使うことで、より強調して表現されています。
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『さようならむつきちゃん』P18(磯谷友紀/新書館)





 一見コスプレアイテムのような付け耳が、わりとシリアスシーンに使われがちなことは、以前話題にした、うつみや聡『そして私は猫になる。』でも触れました。
 この『さようならむつきちゃん』はその傾向を見事に体現している作品と言えそうです。


 もう一点、本作には重要な付け耳のシリアス表現がありまして、、、、

(ネタバレ気味なので、知りたい方は『続きを読む』をクリックのこと)
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ホロ、満面の笑み。『狼と香辛料 XI』(コミカライズ版)

 獣耳キャラに定評のある小梅けいと氏による、傑作獣耳小説『狼と香辛料』のコミカライズ版11巻目が12月20日より発売中です!
 8巻から引き続き、原作の「対立の町」編の終盤に当たる物語が描かれます。

 海獣イッカクの所有権・売買権諸々を巡る、北の街と南の街の水面下での争いは、双方で利益を分け合うという無難な線に落ち着きそうだったところ・・・・・突然、北の街のジーン商会が即時現金でイッカクを買い取ると宣言します。
 予想外の展開に、南の街の商会副館長・キーマンは、北の街を代表していた女商人エーブが謀っていた裏取引の尻尾を掴んで、状況を挽回するべく彼女を捕えてしまいます。
 エーブが殺されるかもしれない状況を前に、行商人ロレンスは決死の覚悟で、綱渡りのような交渉をキーマンにもちかけますが・・・・・・。

 ホロ的には、どうもロレンスが自分以外の「他の雌」、もとい他の女性に力添えしようとするのは複雑な気持ちらしく。
 表紙の「あっかんベー」もそうですが、嫉妬心はありつつもそれを剥き出しにしないように、わざと悪戯っぽい態度でロレンスに接しようとしている雰囲気があります。

 嫉妬を誤魔化している時と、本当に喜んでいる時の描きわけが実に巧いなあと思うわけで、ロレンスに『旅を共にするのはおまえだけだ』と強調して言われた時に見せる満面の笑みは、こっちまでニヤニヤしてしまいそうなくらい素敵な笑顔です。
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『狼と香辛料』コミカライズ版11巻P44(小梅けいと・支倉凍砂・文倉十/KADOKAWA)













 ちなみに本作のホロは、このコマのように、左右の両方の牙(犬歯)が描かれることが多いのですが、ケモミミキャラで両方の牙が描かれるパターンは、実は少数派だったりします。

 下の『今日のケルベロス』の例のように、ケモミミキャラは八重歯のように片側だけ牙が描かれるパターンが多くて・・・・・・。

 両方の牙を描くパターンはケモミミよりも妖魔・魔族や吸血鬼といった、本物の「鬼」であるキャラで描かれる傾向があります。

 といいつつも、「ケモミミ娘に牙」という描写を盛んに使っていた90年代ケモミミ漫画の代表作『はいぱーぽりす』が、「両方の牙を描く」典型例といえる作品だったりするので、あくまで傾向でしかありませんが。

 両方の牙を描く方が、やや攻撃的な雰囲気になって女性のセクシーさが増す、という効果はあるかもしれません。



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