繊細なタッチの絵柄でファンタジックな物語を紡ぐ、蒔々氏の恋愛漫画短編集『黒月の眠り』が2月15日より発売中!
黒月の眠り (アヴァルスコミックス) (マッグガーデンコミックス アヴァルスシリーズ)
表題作は、大魔法使いの孫娘フィユと使い魔兼執事のダル、そして獣人の盗賊(役柄から考えると猫系ですかね?)の物語。
死んだ祖母の遺言に従って、祖母の屋敷を訪れたフィユとダルは、屋敷の牢に盗賊が囚われているのを見つけます。
盗賊は新月になると死に至る呪い「黒月の眠り」を祖母にかけられており、なんとか呪いを解こうと必死なのですが、フィユは本で読んだロマンス物語に感化されて、彼のことを「自分を攫いにきた大泥棒だ!」と、一人で大盛り上がりします。
フィユはとにかく妄想たくましく、テンション高く、盗賊もその様子にドン引きしてしまうわけですが・・・
『黒月の眠り』P17(蒔々/マッグガーデン)
しまいには、フィユは盗賊の事を「尻尾(クー)ちゃん」という愛称で呼び始めてしまいます。
多分、フランス語で「尻尾」を意味する「queue」からとっているのでしょうけど。
一応、フィユは呪いを移し変える魔法によって、盗賊の呪いを解くわけですが、単に移し替えただけなので今度はフィユが「黒月の眠り」を受けることになります。
盗賊は半ば渋々、半ば心配して、フィユの呪いを解く方法を調べるのですが、フィユはあっけらかんと幸せそうにしていて、全然恐怖を感じていない様子。
実はフィユは、心に重大な問題を抱えているのでした――
おとぎ話のように明るい前半部と、心を揺さぶられる後半部のバランスが絶妙な、珠玉の短編です。
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